不動産投資を検討されている方や、既に不動産を運用されている方の中には「不動産競売」という言葉を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では、不動産競売の基本から手続きの流れなどを分かりやすく解説させていただきます!
実際に競売に参加するために必要なこと、そして競売物件で大成功した実例などを網羅しました。
不動産競売をメインとして不動産投資を行った結果、なんと利回り40%以上を実現された方もいらっしゃいます。
これから不動産競売を検討しようとされている方は、この記事をお読みいただくことで不動産競売に知識を深めることができます。
是非最後までご覧ください。
目次
1.不動産競売とは?初めてでも分かる競売知識!
競売物件はお宝物件や掘り出し物件を探す手段の一つです。
この章では、不動産競売が一体どのようなもので、どんなメリットがあるのかといった基本的な部分を解説させていただきます。
1-1:不動産競売ってどんなもの?
不動産競売とは、一言で表すなら「何らかの事情で公売される不動産を購入できる制度」です。
わかりやすく言うと、所有者がローンや税金を滞納するなどした場合、該当の不動産を差し押さえられます。
それを債務の返済に充てるため、公的に売却するという制度です。
不動産競売は、
「ローンなどの担保として競売にかける」
「裁判所の命令で競売にかける」
という2つのケースに分かれます。
・遺産相続の話し合いで揉めたために裁判所の判断で競売になった
・事業に失敗して保有資産である不動産が競売にかけられることになった
など、不動産が競売で売却される背景には様々な事情があるのです。
そんな話を聞くと少々ネガティブなイメージを持たれるかもしれませんが、一旦ここでは「中古不動産のオークション」といったように考えられても差し支えありません。
背景がどうであれ、売られている不動産を有利な価格で買える可能性があるのが、不動産競売の大きな魅力です。
昔と比べて随分とクリーンなイメージになったと言われる不動産競売ですが、以前までは普通の人では立ち入ることができない闇市場のようなものでした。
しかし今では、一般の不動産投資家の方も多く参加できるようになりました。
そのため売却基準価格(裁判所が決める不動産の値段)が高く設定されることもあり、なかなか希望の価格で落札できないといったケースも増えている現状にあります。
1-2:不動産競売のメリットとデメリットは?
不動産競売とは何かを簡単にご説明させていただきましたが、メリットとデメリットを見てみましょう。
このように、安くて魅力的な物件に出会える可能性がある分、リスクが高いのが不動産競売です。
そもそも、通常の売買市場では売ることができなかった、特殊な事情を抱えた物件が競売にかけられるのですから、リスクの高さは十分に認識して参加する必要があります。
1-3:予め知っておきたい不動産競売の専門用語集
不動産競売の手続きの前に、特に理解しておきたい専門用語をまとめました。
予習を兼ねて簡単に目を通されることをお勧め致します。
〇事件
不動産が競売に掛けられる事案の事です。
〇売却基準価額
該当の不動産に対する評価額で、あくまで裁判所が調査した結果の価値です。
〇買受可能価額
競売物件に対する実際に入札が可能な最低額。売却基準価額から20%引いた額を買受可能な最低額として、それ以上の金額で入札する必要があります。
〇期間入札
競売物件に対する入札可能期間です。
〇評価書
裁判所が指定した不動産鑑定士が、その物件を評価するに至った内容が書かれた書類です。
〇物件明細書
競売不動産に関する権利関係が書かれた書類です。
〇物件目録
競売で売却される物件がどれなのかが明確にされた書類。つまり、土地の地番や建物番号などが書かれた書類です。
〇3点セット
競売物件の詳細が記載された書類。「物件明細書」「現状調査報告書」「評価書」の三部構成となっているため3点セットと呼ばれています。
〇保証金(買受申出保証金)
入札にあたって予め預けておくお金。売却基準価格の2割となり、不動産取引における手付金のようなものです。
〇期間入札の公告
競売が決定した不動産の入札期間や開札日、売却基準価格等が公に掲示されることです。
〇開札
期間入札終了後に入札された内容を確認、読み上げを行う日。つまり、最高入札価額が決定する日です。
〇買受人
競売不動産を落札して実際に購入する人のことです。
〇占有者
その建物に居住している者。元所有者だけでなく、賃借人やその他の人も含まれています。
〇引渡命令
不動産を占有する者に対して裁判所が立ち退きを命令する事です。
〇売却許可決定
不動産競売開札後に最高価額で落札した買受人に不動産の売却を許可する決定のことです。
〇売却決定期日
売却許可決定を行う日です。
〇次順位買受申出資格者
落札された物件が購入に至らなかった場合に、買受人となることができる2番目に入札額の高かった人のことです。
〇特別売却
期間入札で落札されなかった物件に対して、先着で売却基準価格以上の申出価額で売却する方法のことです。
2.競売の流れ!入札から開札までの手続きを解説!
この章では実際に不動産競売に参加する側になったつもりで、みていきましょう。
まず『大事な物件はどうやって探すのか』『物件では何を確認するべきか』解説します。
物件を決めた後、用意すべき書類や手続きといった具体的な流れについてもみていきたいと思います。
2-1:競売物件は「3点セット」で確認
そもそも競売物件はどこで探せばよいのでしょうか。
3章でもご紹介しますが、不動産競売の物件は専用のインターネットサイトを活用します。
物件を探したいエリアを管轄する裁判所でも閲覧できますが、サイト上のほうがたくさんのエリアの物件を閲覧することができますし便利です。
競売物件情報と一般の不動情報と違うのは、物件情報が細かく掲載されいるわけではないところです。
情報が少なく、物件に関する全ての不明点は自分で調べなければいけません。
不動産競売では、「3点セット」で基本の物件情報を確認します。
「物件詳細が書かれた説明書」というと分かりやすいかもしれませんが、実際にあった3点セットをベースに作成した下図を見ていただくと、どのようなものかイメージできるかと思います。
上記はかなり簡易的なものです。
とはいえ、普通の取引では説明されないような物件情報もあるので、ある意味では普通の不動産情報よりも内容は濃いと言えます。
不動産投資として競売に参加するのであれば、この3点セットは最も重要なものとなるということは覚えておきましょう。
2-2:競売に参加する際の必要書類
不動産投資として魅力的な物件が見つかって、3点セットも確認した。
次はいよいよ競売に参加するための準備です。
不動産競売において、競売に参加するという事自体が購入意思があるとみなされます。
競売に参加する時点で必要書類を用意しなければいけません。
では、不動産競売で最低限必要な書類を見てみましょう。
入札書や振込依頼書は裁判所に行くとセットで渡されることもあるようですが、手続きの方法や必要書類は各裁判所で確認するのが確実です。
尚、書類の書き方について気を付けるべき以下7つは特に注意点しましょう。
・保管金受入手続添付書に領収印が押されていることを確認
・入札書の記入はボールペン ・入札金額は算用数字で書き、桁数を絶対に間違えない(5章で解説) ・書き損じは原則として新たに書き直し(やむを得ない場合のみ訂正印での訂正可能) ・入札書の住所は住民票と一致させる ・一度提出した入札書は変更、取り消しできないことを心得る ・入札書を提出するときの封筒は厳重に糊付けする(入札が無効になる可能性があるため) |
2-3:競売物件入札から開札まで
不動産競売に参加するための書類が分かったところで、具体的に不動産競売がどのような流れで行われるか解説させていただきます。
下図の流れでは、上段に「裁判所で行われる工程」と下段に「入札者が参加する工程」で分けて表示させていただいております。
不動産競売が実際にどのような流れで行われるのかが、一目で分かりますので確認しておきましょう。
図にもありますが、実際に競売されることが決定してから、落札者の手に不動産が渡るまでには1年近くかかります。
ただ、入札者はスムーズにいけば大体2ヶ月ほどで物件を手に入れることができます。
もう少し具体的にご説明させていただくと、入札を希望する方に関係するのは、上図の3点セット備置以降です。
3点セットが備えられてから入札開始までには1ヶ月半から2ヶ月ありますので、その間に物件の調査を行うことができます。
また、入札開始から開札までは1週間ありますので、書類の用意は慌てなくても大丈夫です。
その後は裁判所による売却許可決定を経て、指定期日までに代金納付を行います。
期日までの代金納付がされない場合は、買受の権利も預けた保証金も失いますので、十分に注意して手続きを進める必要があります。
2-4:こんな時どうする?不動産競売のよくある質問
初めての方でも不動産競売がだいぶ明確になってきたかと思います。
必要書類のご説明にもあったように、公的な手続きであることから何かと注意点が多いのも事実。
この章の最後として、不動産競売における注意点の補足として、よくある質問をご紹介いたしますので確認しておきましょう。
Q.入札書の入札価額は保証金を含めた額?
A.3点セットに記載された買受可能価額以上の金額を記入することとなりますので、保証金は含めません。
Q.入札後に急遽お金が必要になったら?
A.一度入札すると、取り消しや訂正は一切できません。途中でお金が必要になっても取り戻すことができませんし、落札後に物件の購入を辞める場合は保証金を放棄することになります。
Q.一つの債務で複数の物件が競売にかけられる場合は、一枚の入札書でまとめて入札できる?
A.事件番号が複数ある物件は個別に入札書を用意して入札する必要があります。 ※一括売却は別
Q.入札価格をもう少し上げたい場合は、もう一度入札できる?
A.入札は1事件に対して一人一回までです。
Q.誰も入札しなかったら?
A.先着順による特別売却や再度競売が行われます。3回の競売で買受人が現れない場合は、競売が停止となります。
Q.落札されたのに代金納付されなかった物件はどうなるの?
A.次順位買受申出資格者が買受人となることができます。
3.不動産競売情報の有名サイト
2章でお話させていただいた、競売物件を探すためのインターネットサイトですが、主なものは3つ。
どれも不動産競売に参加される方には非常に便利で参考になる情報が多く掲載されていますので、こちらも一度確認しておくと良いでしょう。
3-1:不動産競売物件情報サイト「BIT」
不動産競売物件情報サイト「BIT」は、NTTデータが裁判所の委託を受けて運営している日本で最も有名な競売情報サイトです。
2018年8月の時点で掲載されている物件は1743件。
競売物件だけでなく、「過去に落札された物件データ」や「過去の物件の落札価格や入札数」、そして先ほどご紹介したような「用語集」や「手続きの流れ」といった様々な情報が網羅されていますので、不動産競売を研究するにあたっては欠かせないサイトです。
3-2:不動産競売流通協会「981.jp」
一般社団法人不動産競売流通協会(FKR)が運営する「981.jp」。
こちらも不動産競売を検討するのに非常に役立つサイトです。
見た目は先ほどのBITよりもポップな感じに作られており、普通の不動産情報サイトと変わりない見栄えとなっているため、初心者の方でも気軽に見てみようという気持ちになるのが特徴と言えるでしょう。
サービスの中身としては、初心者の方でも気軽に相談できる「競売入札サポート」といったものや、実際の競売物件に架空の入札をする「バーチャル入札」といったサービスがあります。
物件掲載数もBITとほぼ同じですので、こちらも一度ご覧になられてみてはいかがでしょうか。
3-3:FKR不動産オークション
不動産競売流通協会ですが、実は最近オークションサイトの運営を始めましたので併せてご紹介させていただきます。
実際に物件が出品されるのは2018年9月を予定していますが、物件は弁護士や税理士、金融機関といった信頼できる機関が出品するもので、入札資格は不動産業者や資産管理法人を始めとして、個人も入札が可能となっています。
それを含め、このサイトを通して物件を購入するメリットは3つ。
・出品者が信頼のおける人、機関である。
・落札者の手数料はシステム手数料1%(仲介手数料の1/3以下)
・FKR会員である宅建業者が契約や重要事項説明などをサポート
最初に無料のアカウント登録が必要となりますので、はやい段階で登録しておきましょう。
4.実際にあった!驚きの競売物件!
さて、ここまで不動産競売について詳しく見てきましたが、上記にご紹介させていただいた不動産競売情報のサイトをご覧になった結果、早く競売に参加したいと思われた方も多いのではないでしょうか?
1章でも解説させていただいたとおり、一般には出回らない掘り出し物のような物件を見つけられる可能性があるのが不動産競売の魅力です。
不動産投資家の中には、競売物件をメインとして活動される方も多いのですが、ここでは不動産競売で驚きの物件を落札して大きな利益を獲得した実例をご紹介させていただきます。
4-1:利回り48%の超高利回り物件を落札!
実母から相続したアパートを経営することになったのがキッカケで不動産投資家となった「DX@母ちゃん」さん。
何とDX@母ちゃんさんは、いきなり落札した競売物件を第一号物件として不動産投資をスタートします。
しかし、その物件がとんでもない利益を生むことになります。
物件のスペックは、築11年、軽量鉄骨、間取り6SLDKの 2階建て、延べ150㎡という戸建物件ですが、敷地面積も160㎡とかなり広い物件です。
驚くのは建物の大きさだけでなく、落札した価格がなんと220万円だということ。
桁を間違えているわけではなく本当にその価格なのですが、何故そんなに安いのかというと「定期借地権付」だったためです。
定期借地権というのは、至極簡単に申し上げれば「期間限定で土地を借りられる権利」ですので、土地の所有権はないということになります。
しかし、そんな所有権のない物件には見向きもされないということが功を奏し、安く物件を手に入れられるというメリットを生みました。
落札後すぐに100万円ほどの費用をかけてリフォームを実施。
13万円の家賃で入居募集したところ、即入居が決まったようです。
結果、年間収入13万円×12か月=156万円という利益をもたらすことになり、利回り48%という驚異の物件に化けたのでした。
現在は既に売却されいらっしゃいますが、ご本人のブログを確認する限りでは平成21年から28年まで所有されていたようですので、実に1000万円近くの家賃収入を得ていたということなりますね。
参考:「初めての競売。入札一人の借地物件が利回り48%の貸家に化けた!」
4-2:所有物件のほとんどが利回り20%超!競売物件のプロ「竹内かなと」さん
ヤフオクで軍資金を作って裁判所で競売物件を購入、賃貸中。
激安物件で高利回り、ローン要らずの不動産投資「物件18号 投下資金 回収完了」
以前、当ブログの「【保存版】初心者向け不労所得21種類まとめ|初期費用や収入額」という記事の「ヤフオク長者から不動産オーナーへ!「竹内かなと」さん」でもご紹介させていただいていますが、竹内さんは不動産競売の話となれば外せない人物です。
まず経歴として、竹内さんはヤフオクで2億円もの資金を稼いだ経歴の持ち主。
それをキッカケに22歳で不動産投資を始められています。
経歴も驚きですが、不動産競売による投資のあんばいはどうかというと、これまで所有した、また現在所有している物件のほとんどが利回り20%超。
実際に竹内さんのブログを拝見してみると、利回り30%以上を実現している物件があるようで、確認したところ物件スペックは以下のようになっていました。
・4DKテラスハウス(再建築不可)
・昭和53年築
・駅徒歩11分
・土地36.35㎡
・建物56.17㎡
・落札価格110万円
・リフォーム等含めた購入費用150万円
・賃料41,000円(年間家賃49万2000円)
落札価格が100万円前半という理由は、再建築不可という悪条件があったからのようです。
竹内さんはリフォームを自分で行うことが多いため、物件落札後のリフォームは毎回安く済んでいるように見受けられます。
それにしても、これまでに20棟以上の物件を落札してきて、ほとんどが利回り20%を超えているというのは驚きですね。
4-3:リフォーム不要のオーナーチェンジ物件で利回り20%を実現!
先ほど、不動産競売サイトとしてご紹介させていただいた『981.jp』でも興味深い成功事例を見ることができます。
その代表としてご紹介させていただくのが、大阪在住の会社員男性です。
自宅近くにオーナーチェンジ物件の戸建てが競売に出ているのを見つけ、すぐに『981.jp』の競売サポートへ問い合わせたとのこと。
権利関係は複雑だったものの無事落札することができ、既に賃貸人がいたことからリフォームせずにすぐに賃料を得られることとなりました。
物件は周辺相場より3割ほど安い約420万円。
他諸費用など含めても450万円ほどで済んだようですが、結果、表面利回り20%、実質利回り14%となり、喜びの声を投稿されています。
5.不動産競売でトラブル発生!よくある失敗事例と対処方法!
不動産競売は非常に安い物件を手に入れられる可能性がある反面、デメリットはもはや自分一人で解決できないレベルになることもあります。
最後に不動産競売でよくある失敗例と対処方法をご紹介させていただきます。
5-1:落札価格が10倍に!?まさかの事態
「入札金額の書き間違える」
そんな事あり得ないと思われるかもしれませんが、実は不動産競売ではよくある失敗例であり、故に入札書の記入は慎重にしなければいけないというのは不動産競売を知っている人からすると常識となっています。
特に多いのが桁数の間違い。
桁数が少なければ落札できないことがほぼ確定ですので問題ありませんが、逆に「0」を一つ多く書いてしまったとすると、恐らく最高値で落札できることになるでしょう。
「10,000,000円(1千万円)」のところ「100,000,000円(1億円)」と書いてしまった場合、高確率で落札できます。
当然「間違えた」では済まされませんから、その1億円という金額は落札者が用意しなければいけません。
対処方法
2章のQAでもご紹介させていただいておりますが、仮に入札金額を間違えて落札できてしまっても、保証金を手放すことで物件を購入せずに済みます。 とはいえ、保証金も売却基準価格の2割となりますから、大きなお金を失うことになります。 実に無駄な失敗ですので十分に注意しましょう。 |
5-2:落札した物件が心理的瑕疵物件だった!?
競売不動産だけに限りませんが、不動産業界でも認知されているリスクに「瑕疵」というものがあります。
通常の不動産売買であれば瑕疵担保責任によって、後に発覚する瑕疵については、明らかに調査漏れと言うことが証明されれば賠償請求を行うことが可能です。
それは、不動産競売でも理屈上は同じなのですが、公的機関によって調査されて売却されるということもあり、後に瑕疵が見つかっても、それを理由として損害賠償が認められることはほとんどありません。
例えば、平成17年の判例に以下のようなものがあります。
Aさんは平成15年に競売入札によってマンションを落札します。
しかしその後、同じマンションの住人から自殺物件であるということを知らされ、この不動産を購入しないという意思表示をしました。
なぜ自殺物件だということを裁判所が調査しなかったのかと言えば、近隣住民や管理会社への物件に関する聴取まで行う義務はないと判断されたためです。
明らかに自殺物件と分かっていれば別ですが、判決では、裁判所の物件調査の時点で具体的に自殺があったかどうかを知り得るような事実もなく、他に調査困難な状況などがあった事も考えると、調査時点では知り得ることのできなかった事実もあるだろうとされたのです。
よって、この裁判で706万円という価値減少分の損害賠償を請求した買主Aさん主張は認められることはありませんでした。
参考:一般財団法人不動産適正取引推進機構
「競売マンションが自殺物件であったことについて、執行官・評価人の調査義務違反を否定した事例」
不動産競売では、後に発覚する瑕疵によって損害を被ることも多々あります。
しかし、この判例のように後の瑕疵を裁判所の責任だとする主張が認められることは多くありません。
事実上、不動産競売の世界では「全てが自己責任」というのが原則となっています。
対処方法
落札した後に気付く瑕疵については、明らかに裁判所の調査不足でない限りは諦めざるを得ません。 ご紹介した判例のように近隣住人による話で発覚する事実もあります。 3点セットを確認するだけでなく、プライバシーや個人情報に気を付けつつ物件の現地に赴き、物件のリスクをできる限り洗い出すことが競売物件を購入する際の基本と言えるでしょう。 |
5-3:覚悟はしていたものの…ここまでとは
不動産競売で最もよくあるのが「占有者とのトラブル」です。
2010年に更新が止まっているものの、不動産競売の様々なトラブルを考察するにあたって非常に参考になるブログがあります。
ここでは、そのブログから特に大変だったと思わせるものをご紹介させていただきます。
ブログ主である仙台市の不動産会社社長は不動産競売のプロとも言える方で、競売物件を何度も落札されており、幾多のトラブルも体験されています。
そんなブログ主の社長ですら「辛かった」と言わしめるのが、同市内で落札した戸建ての物件。
この物件に住む元所有者がかなり癖のある方で、住んでいるのは高齢の父と息子の二人。
退去勧告の為に落札した家に行ってみると、玄関には物件を明け渡さない旨の書かれた多数の張り紙が…。
後日、執行官、警察官6名、引越し業者7名というかなり大掛かりな規模で、建物内の荷物を運び出すための強制執行をすることとなりましたが、帰宅した高齢の父が建物内で大暴れ。
その場は警官の説得により作業再開したようですが、事態はそれで終わりません。
息子とされる人は比較的に話の分かる方のようで、なかなか片付かない荷物を後日になって運び出すとの連絡をしてきたことからブログ主はそれを信用して待っていましたが、何故か現れたのは息子本人の他に外国人が3人。
荷運びの作業はしてくれたものの、途中、外国人3人が大声で叫び出したり、ブログ主の車のボンネットに乗って暴れたりしたと書かれており、この物件の退去で実に大変な思いをされたことが綴られています。
対処方法
ブログ主の方が不動産会社社長ということもあり、このトラブルはご本人で解決されています。 この事例のように、競売物件は普通の不動産売買市場では扱われない「問題」を抱えた物件が多くあります。 建物や立地などの問題もありますが、こうした「人間」によるトラブルが多いのも競売物件のリスクです。 そのことを十分に理解し、それでも競売物件が欲しいと思えてから入札に参加されることをお勧め致します。 |
まとめ
不動産競売も複雑なようで、こうして中身を見てみるとそこまで固いものではないんだということがお分かりいただけたかと思います。
但し、気軽に参加できるようになった不動産競売も、今回紹介したようなデメリットやリスクがあるのも事実です。
そのため、通常の不動産よりも物件を見る目を試されるのが不動産競売とも言えます。
物件の見極めをしっかり行う必要があるのは通常の物件も競売物件も同じですが、優良物件さえ見つけることができれば、不動産投資成功に近づくことができます。
この記事で不動産競売がより魅力的に感じた方は、実際に物件を探して、バーチャル入札などから試されてみても良いかもしれませんね。
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