賃貸住宅が借り手市場の今、全てのオーナーにとって空室対策は大きな課題のひとつとなっています
では、空室対策とはなにか
「賃貸住宅において、借主がいない状態を解消するまたはそうならないために行う策」のことです。
不動産投資において、家賃収入が大前提となります。空室期間が長引き、家賃が入らなければ、オーナーの負担は大きく投資としては成立しなくなります。そのため、不動産投資においていかに空室期間を減らし、継続した家賃収入を実現していくかが最大のポイントなのです。
不動産投資の明暗をわける「空室」。空室さえ防げれば、運用成功といえるでしょう。
そこで、本記事では、①物件所有前・②賃貸中の予防策・③空室となってしまったときの対策と、3段階にわけて空室対策をご紹介します。
1.【物件選定時】空室を出さないための物件選び
需要のない場所の物件は何をやっても入居がつきません。つまり空室を回避する最も重要なポイントは、立地の選定であるといえます。
持ち家志向が薄れ、単身者が増加し続ける現在、賃貸物件ニーズの高まりに応じた立地を選定すれば、高い入居率を実現することが可能なのです。
1-1 都心部の物件を選ぶ
需要と供給は、立地で決まる部分がほとんどです。
まずはこのグラフを見てください。
※総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告2020年結果」
全国の転入超過数を表したグラフですが、人口増加が進んでるエリアは全国でたったの8箇所。そして一目瞭然で東京への一極集中が伺えます。
転入してくるということは必然的に住む場所が必要です。そのため、東京の賃貸需要は全国で見てもはるかに高いということが容易に予測できます。一方、人口が減少している中で転入数が低い箇所は、空き家が増えていくでしょう。もちろん、そういった箇所でも不動産投資は可能ですが、転入数の高い箇所より厳しい物件選びが必要となるでしょう。
1-2 ワンルームマンションを選ぶ
都内23区では新たにワンルームマンションを建設するにあたり、区ごとで厳しい規制を設けています。「ワンルームマンション規制」と呼ばれるこの条例は、ワンルームマンションの供給数減少の引き金ともなっており、需要の増加量に対して供給量が追い付かないといった事態も懸念されています。
また、東京都が発表している世帯予測によると、単身世帯は2040年まで増加し続けるとされています。
※東京都政策企画局「2060年までの東京の人口・世帯数の予測について」
日本で未婚率が最も高いのは東京です。日本全体の問題でもある、未婚化・晩婚化の波は緩やかに上昇し、その中でも東京は高い水準を維持すると予測されます。
また東京都はこういった予測もしています。
※東京都政策企画局「2060年までの東京の人口・世帯数の予測について」
このグラフでわかるように、将来的に高齢世帯の半数が単身世帯になると予測しています。
転入してくる若年層だけでなく、高齢者層のワンルーム需要というのも必然的に高くなるということがわかります。
このように東京では今後もワンルームマンションのニーズは高く見込める、供給面でも規制されているため需要と供給のバランスを考えると投資にはワンルームマンションが適しているのです。
1-3 中古マンションを選ぶ
物件選びで一つのポイントになるのが、新築マンションにするか中古マンションにするかということです。
一見、新築マンションは最新設備や新築という強みがあるので入居者がつきやすいのではと思われがちですが、中古マンションにした方がいい理由は2つ。
① 借り手がまず気にするのは、賃料。新築の場合、現在の建築費・広告費も上乗せされ物件自体の販売価格も相場より高いものがほとんどです。物件価格が高いということは、必然的に家賃を上げて募集するしかありません。中古の場合は、今よりも物件価格が抑えられているため家賃を相場より上げるというリスクを負わず、安定的な投資ができます。さらに、設備やリノベーションがしっかりしていれば、中古でも入居率や家賃の変動もそこまで変わりません。
② 新築=現在建築中、または完成後1年未満の物件で、未使用・未入居のもの完成後間もない物件であっても、誰かが入居してしまえばその時点で新築とは呼べなくなります。極端な話、その最初の入居者が短期で退去してしまっても新築とはうたえなくなるのです。
中長期的な運用をしていく中で、新築は一度きり。その後は中古として募集をすることにななります。そのときに、新築で運用を開始してしまうと、賃料の値下げは必須になることでしょう。
そのため、中古マンションがおススメなのです。
1-4 新耐震基準であるかどうか
日本国内において地震が起きないと断言できる場所はないのが地震大国である日本。
日本の建築物の耐震基準は、大地震が発生するたび新基準の制定や改正が繰り返されてきました。その中でも、大きな改正となったのが、1981年の建築基準法大改正です。
マンション投資の上で、マンション自体がなくなっては元も子もありません。マンションの耐震性は重要な基準となります。
→旧耐震と新耐震の説明。
新耐震物件とは1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物を指します。(竣工年でいうと少なくとも1982年の下期以降に竣工した物件)
旧耐震基準は、震度5強程度の中規模の地震を想定して建物に大きな被害がでないことを目安に定められていました。
新耐震基準では、旧耐震の基準に加え、震度6強~7の大規模な地震の際にも、建物の被害はあるものの倒壊や崩壊はしない、つまり、人命に関わる損傷は生じないことをその目安としています。
ちなみに1995年の阪神淡路大震災(震度6強)で軽微な被害もしくは無被害に抑えられた物件が旧耐震基準物件では3割程度しかない一方、新耐震基準物件の場合は7割以上だったことからも、安全性の違いは一目瞭然です。
1981年以降の新耐震基準の物件であれば、入居者への大きなアピールポイントをなり、自然災害に対するリスクヘッジにもなります。
1-5 駅徒歩10分以内の物件を選ぶ
入居者が物件選びをするときに、家賃の次に大きなポイントとなるのが駅徒歩何分かです。
毎日の通勤・通学の際、歩ける距離として10分というのがひとつの目安となっています。
駅近の方が周辺にスーパー、コンビニ、ショッピングモール、病院といった日常生活に欠かすことができない施設も豊富なので、需要も高くなります。
中古マンションの値崩れしやすいかどうかは、マンションの需要の高さと関係しています。そのため、駅近の需要が高い物件は値崩れしにくいと言えます。
1-7 設備・募集条件
① 共用部・専有部の設備について。
マンション選びの際、賃料・駅からの距離、その次にポイントとなるのが設備です。
一般的に入居者は自分の希望やライフスタイルに合わせて最適な条件を入れ、物件を探します。ワンルームの場合、特に独身世帯が必要そうな設備があるといいでしょう。
例えば
共用部:オートロック、宅配ボックス、防犯カメラ、駐車場、駐輪場、バイク置き場 等
専有部:フローリング、クローゼット、浴室乾燥機、IH、追炊き機能、洗濯機置き場 等
② エリアにあった募集条件であるかどうか。
先に述べたように、賃貸物件の場合、需要と供給が大切です。そのエリアのライフスタイルを知り、募集条件が需要に合っているかを見ましょう。
例えば
・外国人労働者が多いエリア→外国籍可
・大きな公園の近く→ペット可
・音楽大学の近く→楽器可、防音設備有 等
1-6 管理体制
需要の高い物件を買うことも大切ですが、購入後の「管理」も重要となります。どんなに周辺環境がよく、設備も整っている物件でも、共用部がいつも汚れていたり、入居者トラブルが絶えない物件では入居者が快適に住める環境でなければ更新はおろか、退去の恐れもあります。清潔で安心して過ごせる環境を整えることが大切です。
入居者募集から契約、クレーム対応、退去の立ち会い、設備点検・トラブル対応、清掃、メンテナンス等、これらをしっかり管理してくれる管理会社がついているかもポイントになります。
また、中古物件の場合、修繕工事がきちんと行われているか。修繕積立金は十分にあるか。これもしっかり確認しましょう。
物件の修繕積立金が足りない場合、修繕が必要となった際に、一時負担金がかかったり、修繕積立金の値上がり幅が大きくなる可能性が高くなります。
1-7 周辺環境
賃貸需要、資産価値を考えると周辺環境が大切です。周辺のニーズと物件の間取りに合ったターゲット層が居住しやすいかどうかチェックしましょう。
単身世帯が近くにあって一番喜ばれるものはコンビニです。
その他にも住むことを考えると、スーパーや病院、郵便局、銀行、公園等、生活に必要な施設が近いこともプラスになります。
その他、大学や外国人労働者が働けるような場所が多くあるエリアでは、ワンルームの需要は高くなります。
しかし、近年大学や会社の移転も多く、大学や会社に頼りすぎると、移転等があった場合に打撃を受けることになるので、全体的にバランスのとれたエリアを選ぶことが大切です。
1-8 周辺に競合物件・これからマンションが建ちそうな土地はないか
供給の面で見ると、同じような条件の物件が近くにたくさんないかチェックすることも大切です。
同じ条件…㎡数・賃料・築年数・駅徒歩・設備・募集条件等。
競合が多いと所有者によっては、賃料を下げてでも入居者をいれたいと思うかもしれません。そうなると価格競争に巻き込まれてしまうかもしれません。
また今後周辺建つ、新築物件も出来る限り調べておいた方がいいでしょう。
2.【賃貸中物件】空室の予防策
物件を購入し、入居者が家賃を払い始めることで不動産投資が成立します。しかし、それで終わりではありません。毎月家賃収入を得るために、入居者が快適に長く住める環境づくりを心掛けましょう
2-1 管理会社とコミュニケーションを怠らない
不動産投資はほったらかしで運用できるとはいえ、状況報告は積極的に受けましょう。
周辺環境の変化によって、条件等の変更がある場合は賃貸人から提案することも大切です。自ら、定期的に周辺を見に行くのは大変です。管理会社とコミュニケーションを密に取り、物件の不具合や周辺環境等情報収集を行いましょう。
2-2 入居者のトラブル対応
入居者が生活する際に起きたトラブルは、なるべく素早く対応しましょう。一旦入居者が決まった後、賃貸人ができる範囲で一番大切なことはトラブル対応です。
トラブルとは、水漏れや冷暖房等の設備の故障・騒音問題等の入居者間トラブル等が一般的に挙げられます。
快適な生活を提供するという面でも、入居者からの質問・対応等は迅速に。
2-3 管理会社の見直し
管理会社とやりとりをしていくうちに、対応の悪さ・遅い・手違いが多い等、こういった状況が続く場合、入居者にも同じ対応である可能性が高いです。こちらが素早く対応したとしても、直接対応している管理会社の対応が悪いと住み心地の悪さを感じるでしょう。
そういった場合、入居者に長く住んでもらうために、管理会社を変えることを検討してもいいかもしれません
2-4 共用部は清潔に保たれているかどうか
いくら所有者といえども、入居中の部屋の中まで確認することはできません。
廊下やフロアの清掃、ごみの回収など日常的なものから、外壁や窓ガラスなど定期的行う大掛かりな清掃等、確認ができる共用部分が、生活しやすい状態で保たれているかどうかだけでも可能な限り確認しましょう。
3.【空室物件】の空室を埋める方法
不動産投資を行うにあたって「空室」は避けられない問題です。見方を変えて「空室は必ず発生するもの」ととらえ、空室が発生した際のなるべく早く入居してもらうための策を考えておきましょ。
3-1 リノベーション
退去時、通常の原状回復工事では、お部屋は清潔に改修されますが、空室対策の効果はあまり期待できません。
ターゲットを意識し、時代のニーズにあった部屋へリノベーションすることも大切です。
近年人気のリノベーション物件。リノベーションは所有個数に関係なく、1部屋単位でリノベーションが可能です。もちろん、費用も時間もかかりますが、周辺の競合物件と差をつけるためにも賃貸需要に合わせ、効果的にリノベーションを行うことで、賃料を上げても入居者がつく可能性もあります。
ワンルームマンションの場合、即入居したい人も少なくありません。家具付き物件にするだけでも効果的な対策といえるでしょう。
3-2 入居条件の変更
空室が埋まらない要因として、家賃・初期費用の設定・設備が周辺相場と合っていないことが挙げられます。周辺の競合物件の募集条件を調べ、入居条件を緩和したり、敷金・礼金を下げたる、他にはない設備やサービスを導入することで、家賃を下げることなく、周辺物件との差別化をはかることができます。
しかし、ペットや楽器等、建物の規定により変えられない条件もあるので注意してください。
3-3 家賃を下げる
明らかに周辺相場よりも家賃が高かったり、高い家賃に見合うだけの付加価値がなかったり、上記の策を講じたが空室が埋まらない場合、最終手段!家賃を下げましょう。
とはいえ、収入が減るわけですから、簡単に家賃の値下げ提案をしてくる管理会社には注意しましょう。周りの家賃相場をきちんと考慮した上で、その物件が本当に値下げしてもいいかの判断をしっかり判断しましょう。
家賃を下げれば、賃貸は格段につきやすくなります。一度下げた家賃はそう簡単には元には戻せません。しかし、場合によっては空室が長期化するよりはいいこともあります。
3-4 サブリースを活用する
サブリースとはマンションやアパートを、管理会社が一括で借り上げすることで「一定割合の家賃を保証する契約」のことをいいます。管理会社によって、家賃の保証割合は違いますが、いい条件でサブリースを行っている会社もあります。
条件を変え、焦って入居者を決めて後に問題が出ては元も子もありません。空室になっても一定の保証された割合で家賃は毎月管理会社から振り込まれます。空室に怯える日々を回避したい場合、サブリース契約をするのも一つの手です。
しかし、近年問題になっているようにサブリース契約には落とし穴がある場合も・・・
4.空室に悩まないために
空室はある程度、対策することで対処することができます。しかし、空室が出ない物件にはやはり敵いません。
4-1 やはり始めるときが肝心
前述したように、物件選びで、空室はある程度回避できます。
「物件選定(都心中古ワンルーム)が重要」
不動産投資を行う上で重要なことは現在ではなく将来の状況です。賃貸需要は日本経済と大きく関係しています。たとえ現在は入居者が多くても、管理が甘くて将来的に価値が下がりそうな物件では元も子もありません。情報の変容には敏感に。
必ず不動産会社に相談し、物件を選びましょう。
4-2 不動産会社の選び方が肝心
現在の入居者の状況や各物件の利点を教えてくれる不動産会社は多いです。しかし、利回りや入居者情報だけでなく、「なぜ不動産投資をするのか」という自身の目的に合わせた運用方法を提案してもらうことが成功の近道です。
目的によって物件や運用方法も変わります。安易に不動産会社を決めるのではなく、複数から比較検討し最適な会社を選びましょう。
自分にあった物件を取り扱っている不動産会社かどうか、実際に足を運び、話を聞いてみてください。
4-3 管理会社との付き合い方
ほったらかし投資といわれている不動産投資ですが、いい管理会社に任せていなければ話になりません。
不動産投資の雑務は任せても、所有物件の状況は把握していた方がいいでしょう。付き合いやすい管理会社と、いい関係で運用していくことが望ましいです。
保証制度はうまく活用しましょう。
まとめ
空室対策で重要なことは、物件選び・入居者の住み心地を高めることです。そして、空室を発生させないための対策と空室が発生した対策を常に講じておきましょう。
コストパフォーマンスを意識して適度に家賃を値引く、設備投資を拡充するなどの対策を取りながら、自分の収入を増やす努力を怠らないようにしましょう。
快適な不動産投資を行うためには、事前リサーチ、不動産会社や管理会社と普段から密にコミュニケーションをはかることが大切ですね。
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