ここ数年「SNS型投資詐欺」をニュースで見ることが少なくありません。
SNSで投資に興味がある人に近づき、巧みに「儲かる話がある」と誘導して、最終的にはお金を振り込ませる―― こうした詐欺被害が全国で多発しており、金融庁や警察庁も注意喚起を強めています。
不動産クラウドファンディングは、少額から始められる資産運用として人気が高まっていますが、その人気に便乗して、この「SNS型投資詐欺」と似た構図が、不動産クラウドファンディングの世界にも存在しており、詐欺まがいのファンドを立ち上げる悪質業者もあります。
この記事では、実際に起きた不動産クラウドファンディング詐欺の事例や、よくある手口、そして詐欺を見抜くための具体的なチェックポイントをご紹介します。
この記事が向いている人
✓ 最近増えているSNS投資詐欺が不安な人
✓ 不動産クラウドファンディングに興味はあるが、詐欺被害が心配な方
✓ どうしたら詐欺を見分けられるか知りたい人
目次
1. SNS型投資詐欺とは?最近の事例とその手口
近年、SNSを悪用した「SNS型投資詐欺」が急増しています。InstagramやLINE、TikTokなどのSNSを通じて接触し、巧みに信頼を得た上でお金を振り込ませるという手口が典型的です。
SNS型投資詐欺の主な特徴は以下の通りです。
・SNSのDMで「投資で月収100万円」などの甘い言葉で誘導
・LINEやInstagramで個別にやり取りし、投資のアドバイスや成功談を繰り返す
・投資先として仮想通貨や金、不動産、バイナリーオプションなどを紹介
・実際には存在しないプラットフォームや口座に入金させ、出金できない
・最終的に突然連絡が途絶えてお金が返ってこない
ここでは詳細な手口や実例は割愛しますが、「SNS型投資詐欺」で検索すると、非常に多くのニュースが出回ってます。社会問題として認識されつつあり、国民生活センターや警察庁も注意喚起を行っています。
2. 不動産クラウドファンディングでも詐欺が?実際にあった詐欺事例
SNS型投資詐欺には、不動産クラウドファンディングを含む小口化不動産においても増加しています。これを受け、国土交通省は『小口化不動産への投資をかたった詐欺的勧誘等に係る注意喚起』を発表しました。
上記の注意喚起と共に、以下のような不動産クラウドファンディングにおける詐欺被害の事例も紹介されています。
引用:小口化不動産への投資をかたった詐欺的勧誘等に係る注意喚起|国土交通省
3. 不動産クラウドファンディング詐欺を見抜き方 5選
このように、SNS型詐欺の手口が進化するなか、「不動産クラウドファンディング」を装った詐欺も増加傾向にあります。
では、どのようにして不正な不動産クラウドファンディングを見抜けば良いのでしょうか?以下の5つのチェックポイントを意識することで、詐欺の被害を未然に防ぐことができます。
① 個別の勧誘には要注意
不動産クラウドファンディングの事業者は、通常「電話」「訪問」「DM」などによる個別の勧誘は行いません。
SNSやメール、電話などで「儲かる不動産投資があります」と突然連絡してくるのは不自然です。特にSNSは匿名性が高く、嘘をつきやすい上に、騙した後にアカウントを削除すれば簡単に連絡を絶てるため、詐欺を仕掛ける側にとって都合の良い環境です。
見知らぬアカウントから突然勧誘を受けた場合は、まず疑ってかかるべきです。
なお、少し補足しておくと、事業者が公式SNSアカウントで広く情報を発信すること自体は問題ありません。これは特定の誰かを狙ったものではなく、あくまで不特定多数への告知です。
問題なのは、クローズドな環境での“個人的なやり取り”による勧誘です。秘密裏に「ここだけの話」などと誘ってくる場合は、特に注意が必要です。
② 国土交通省の登録事業者かを確認
不動産クラウドファンディングは、「不動産特定共同事業法」に基づいて運営されるため、事業者は国や都道府県に「不動産特定共同事業者」として登録されている必要があります。
この登録を受けるには厳しい基準をクリアする必要があるため、正規に登録されている事業者であれば、詐欺リスクはかなり低いといえます。
登録の有無は、国土交通省の公式サイトで誰でも簡単に確認できます。
🔎【不動産特定共同事業者一覧(国土交通省)】
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_tk5_000001_00014.html
ただし注意したいのは、実在の事業者名を勝手に使って偽サイトを作るような悪質なケースもあるということです。「ちゃんと登録されていますよ」と堂々と名乗っていても、サイト自体が偽物という可能性もゼロではありません。
そのため、「登録されているか」だけでなく、公式URLかどうか、他の情報とも照らし合わせて確認することが重要です。必要であれば、実際に事業者へ問い合わせるのも有効です。
③ 物件情報の透明性をチェック
投資対象となる物件の情報が明確に開示されている案件を選ぶことが重要です。
案件ページに物件名や所在地(住所)、土地面積、築年数、想定利回りなどの情報が詳細に掲載されていれば、Googleマップやストリートビューを使って実際にその場所を確認したり、登記簿謄本を取得して物件の実在性を確かめることが可能です。
さらに、賃貸サイトなどで周辺地域の不動産価格や賃料相場をチェックし、提示されている条件とかけ離れていないかを確認することで、架空の物件や不自然な案件を見分ける手がかりになります。
ただし、開発予定の新築物件や海外不動産など、物件の性質上すべての情報を事前に確認するのが難しいケースもあります。そのような場合でも、すぐに「詐欺だ」と判断せず、他の見極めポイントと合わせて慎重に判断することが大切です。
④ 口コミ・レビュー・SNSで情報収集
他の投資家による口コミ・レビュー・SNSでの投稿など、実際の体験談をチェックすることが非常に有効です。これらは運営会社の広告とは異なり、客観的かつリアルな意見として、信頼性の判断材料になります。
特に、過去にトラブルがあったかどうか、運営体制に不安要素がないかなどを事前に把握しておくことで、リスクのある案件を回避し、より安全な投資判断が可能になります。
ただし注意点として、良い口コミだけを鵜呑みにしないことが大切です。一部の悪質な業者が自作自演で好意的なレビューを投稿しているケースもあるため、情報を精査する目を持ちましょう。
また、クローズドのSNSグループの中で業者が自作自演で褒め合う、実績を自慢するといった詐欺もあるようなので、WEB検索をして広く情報を集めるようにしましょう。
複数の情報源を比較し、ポジティブ・ネガティブ両方の意見をバランスよく確認することで、より信頼性の高い判断ができるようになります。
⑤「絶対に儲かる」「リスクゼロ」に要注意
「絶対に儲かる」「リスクゼロ」といった表現には、特に注意が必要です。投資には常に市場環境や経済状況の変動リスクが伴うため、100%安全な投資というものは存在しません。
そういった甘い言葉だけを強調し、リスクについて一切触れない業者や個人の紹介は、過剰に誘導しようとしている可能性があるため、十分に警戒しましょう。
また、以下のようなセリフも典型的な怪しいパターンです:
・「あなただけに特別なファンドを紹介します」
・「まだ世の中に出ていない、裏情報です」
不動産クラウドファンディングは基本的に多数の投資家を公募する仕組みであり、「あなただけに紹介」といった限定性を強調する営業トークは、信頼性に欠ける場合が多いと考えましょう。
投資はあくまでも自己責任で行うものです。リスクを正しく理解し、「うますぎる話」には冷静に対処する姿勢が大切です。
4.まとめ
今回は、不動産クラウドファンディングを悪用した詐欺の手口や見分け方のポイントについて解説しました。
近年では、国土交通省が注意喚起を行うほど、詐欺的な案件が増加しており、一見して見抜きにくいケースも少なくありません。
しかし、今回ご紹介したようなポイントを意識し、信頼できる事業者を見極めること、物件情報の透明性をしっかり確認することを徹底すれば、安心して不動産クラウドファンディングを活用できるはずです。
もし「必ず儲かる!」「リスクゼロ!」など、あまりに都合の良い話に出会った場合は、すぐに飛びつかずに一度立ち止まって情報を確認することが大切です。必要であれば、専門家や第三者の意見を参考にするのも良いでしょう。
冷静な判断と情報収集が、安全な資産運用への第一歩です。