「家賃収入をもらい始めてからついに初めての確定申告!でもやったことないので難しそう・・」
サラリーマンは会社の年末調整で済むので、確定申告をしたことがない人が多いのではないでしょうか?
不動産所得が20万円超ある場合は、確定申告が義務付けられています。
また、あてはまらなくてももし赤字であれば、税金が還付されることがあります。
なんだかむずかしい確定申告ですが、ひとつずつステップをふんで行えば難しい事はありません。
今回用意する書類から申請方法までまとめました。ぜひ参考にしてください。
目次
1.家賃収入の確定申告のやり方とは?
サラリーマンで給料をもらっている方で、不動産所得額(家賃収入―必要経費)が20万1円以上ある場合は確定申告が義務づけられています。
20万円以下の場合や赤字の場合、確定申告の義務はないですが、サラリーマンでの給与に対し、不動産所得が損益通算されますので、合計所得が減り、年末調整で納めすぎた税金が還付される可能性があるというメリットがあります。
申告や納税を忘れると、本来支払うべき税金にペナルティが上乗せされることがあります。
ペナルティについては、後ほど詳しく書きますが、無申告加算税・延滞税など払わなくていいお金を払わなくてはならなくなります。
ちなみに確定申告の期間は毎年2月16日〜3月15日です。
忘れないように申告しましょう。
1-1:家賃収入の確定申告は青色申告で!
確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2通りのやり方があります。
どちらが良いかと結論を言うと、青色申告一択です。
なぜなら、税金控除を受けられるメリットがあるからです。
「青色は帳簿をつけないといけないから面倒くさい」という理由で、白色申告を選ぶ人が多かったのですが、平成26年1月から白色申告も帳簿記帳と領収書や明細書の保管が必要になりました。
同じ手間をかけるのであれば、青色申告をしたほうが断然お得です。
青色申告で確定申告するには申請をする必要がありますが、手続きは簡単なので青色申告を選択しましょう。
青色(65万円控除) | 青色(10万円控除) | 白色 | |
条件 | 区分所有10室または戸建5棟以上 | 条件なし | 条件なし |
メリット | 家族(※条件有)への給与が全額経費に
年間の損失の繰り越し向上可(3年間) |
年間の損失の繰り越し向上可(3年間)
帳簿付けは簡単な単式簿記 |
|
事前届け出 | 必要 | 必要 | 不要 |
帳簿 | 必要(複式簿記) | 必要(単式簿記) | 必要(単式簿記) |
作成する書類 | 青色申告決算書 (不動産所得用) 確定申告書B |
青色申告決算書 (不動産所得用) 確定申告書B |
収支内訳書 確定申告書B |
特別控除 | あり | あり | なし |
単式簿記と複式簿記の違いとは?
単式簿記 お小遣い帳のようなイメージです。現金出納帳なら、現金が増減する度に、その要因と金額を記録していく形になります。簿記は「発生主義」といい、現金の有無に関係なく取引きがあった時点で記帳するのが原則ですが、単式簿記では「現金主義」といって、現金の動きがあった時点での記帳をすることが認められています。 複式簿記 複式簿記とは、1つの取引きを2つの要素に分解して、仕分けと呼ばれる手法で取引きを複数の科目で記録する方式のことです。簡易簿記に比べると処理が手間となりますが、複雑な取引きを記録でき、「損益計算書」と「貸借対照表」を作成できるというメリットがあります。 |
では青色申告(65万円・10万円控除)と白色でどのくらい税金が違うのかを見てみましょう。
例「年間収入600万円 必要経費250万円 その他控除7万円 基礎控除38万円の場合」
納める所得税額 | 差額 | |
白色申告 | 207,500 | 基準値 |
青色申告(10万円) | 197,500 | 10,000 |
青色申告(65万円) | 142,500 | 65,000 |
10万円の控除の場合でも同じ手間で1万円も得です♪
1-2:青色申告の申請方法
青色申告を申請する人は、確定申告をする年度の3月15日までに管轄の税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
例:2018年度の確定申告→2018年3月15日まで
ただし新規で開業する場合は、開業から2ヵ月以内に提出でオッケーです。
投資物件を購入したらその物件の引き渡し日から2ヶ月以内ということになります。
【用意するもの】
・青色申告承認申請書→ダウンロード
税務署に郵送、もしくは直接提出で申請手続きは完了です♪
管轄の税務署を調べたい方は→こちら
2.確定申告(青色申告)のための必要書類
青色申告承認申請手続きが終わったら、いよいよ確定申告です!
2-1:必要書類一覧
まず確定申告をするのに必要な書類を一覧でリスト化しました。
自分で用意するもの、会社で用意してもらうもの、送られてくるものがあります。
これらの書類は、確定申告書を作成する際に必要となる数字を導き出す根拠資料となるものです。
2月16日には全て揃っているようにしましょう。
どこからもらえるか | 用意する書類 | 備考 |
勤務先 | 源泉徴収票 | 一般的に12月中にもらえます。 |
不動産会社 | 売買契約書 | 契約時に不動産会社からもらえます。 |
譲渡対価証明書
(マンションの土地と建物の按分割合を示すもの) |
契約時に不動産会社からもらえます。もらえないときは頼むともらえますます。
|
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賃貸借契約書 | 購入時、賃借人がいる時には契約時にもらえます。
購入時、空室でその後賃借人が決まった場合は、不動産管理会社からもらえます。 |
|
家賃送金明細書 | 家賃の金額や管理手数料等はここで確認します。 | |
金融機関 | 借入金の返済予定表 | 融資時にローン会社からもらえます。
(無くしても再発行可能です。) |
市区町村 | 固定資産税納税通知書 | 市町村(東京23区は東京都)より毎年4~6月ごろに送られてくる |
保険会社 | 火災・地震保険の控除証明書 | 11~12月頃送られてきます。 |
リフォーム会社等 | 工事見積書・領収書等 | リフォーム等をした場合 |
その他 | 領収書
交通費・飲食代・書籍代等 |
不動産経営に直接かかわった経費 |
通帳 | お金の流れがわかるもの | |
マイナンバーカード | e-taxを利用してネットで申請する場合 |
2-2:確定申告の手順
上記の書類がそろったら、確定申告の準備はOKです。
最寄りの税務署に行き申告書を貰いましょう。直接取りに行くこともできますが、郵送でも依頼できます。
また国税庁HP内の確定申告書等作成コーナーや会計ソフトを利用して作成することもできます。
【用意する申告書類】
・確定申告書B
まず、青色申告決算書の書き方説明します。
青色申告決算書
収入金額の部(用意する書類)
① 賃貸料(家賃の送金明細書)
家賃収入やその他収入
② 礼金・権利金・更新料(家賃の送金明細書)
礼金や更新料を受け取った場合はこちらに記入。
※注意※
返す必要がある敷金は収入金額に入れないので注意してください
③ ①+②です
必要経費の部(用意する書類)
④ 租税公課(固定資産税等の領収書)
固定資産税や、不動産取得税、収入印紙等にかかった費用
また印鑑証明書等にかかった公共サービスを利用した手数料もこちらに含まれます。
⑤ 損害保険料(その年度の保険控除証明書)
その年に支払った火災保険料や地震保険料
※注意※
例えば5年の期間地震保険料を申しこんだ場合、5年分の地震保険料を全額記入するのではなく1年分を記入します。
⑥ 修繕費(工事代金の領収書等)
リフォームやクリーニング、原状回復にかかった費用です。
例:壁紙の張り替え、軽微な修繕等
ちなみに資産の価値を高めたり、耐久性を増すようなリフォーム工事の場合は修繕費ではなく建物価格に含める場合があります。
参考:国税庁「修繕費とならないものの判定」
少し判断が難しいケースもありますので、不安な方は最寄の税務署で相談しましょう。
⑦ 減価償却費(売買契約書、土地建物の割合がわかる書類等)
建物の減価償却費、法定耐用年数を元に算出します。
減価償却費の詳しい説明はこちらを参照してください♪
≫マンション減価償却費を求める簡単3つのステップ【必要書類リスト付】
⑧ 借入金利子(返済予定表)
ローンで物件を購入した場合、ローン返済額の利息部分に相当する金額です。
※注意※
元本部分は費用として計上できないので要注意です。
また不動産所得が赤字の場合、経費として計上したローンの返済額利息部分のうち、土地取得分の利息の一部は経費として認められません。
※その他費用について⑫~⑯の空欄に項目を作り金額を記入します。
例:管理費・修繕積立金を⑬に「管理費・修繕積立金」と項目を作り金額を記入
⑨ 青色申告特別控除額
10万円か65万円を記入(規模によって)
その他青色申告決算書の詳しい書き方は→こちら
確定申告書Bの書き方
確定申告書Bは源泉徴収票、医療費の領収書等を見ながら、不動産収支内訳書で計算した不動産所得金額を転記していきます。
第一表 | 収入、所得、控除、税金の計算などを記入 |
第二表 | 所得の内訳、各種控除の詳細、専従者についてなどを記入 |
たくさん項目があり難しく感じますが、自分に当てはまるものだけを記入するだけなのでシンプルです。
詳しい確定申告書Bの書き方はこちらを参考ください。
以上で終了です!
納付する税金の金額が決まったら、3月15日までに納めます。
反対に税金が還付される方は申告書を提出してからおよそ2カ月~3カ月後に還付金が振込まれます。
初めて確定申告をする方、時間がある方は各税務署の開催している確定申告の相談会に行き、税務署の職員と相談しながら作成したほうがスムーズです。
必要な書類さえあれば最後まで丁寧に説明してくれ、待ち時間を含めなければ30分程で終わります。
全国的に3月は会場がかなり混んでいて待つ時間がかかるので、比較的空いている2月に行くのがおすすめです。
確定申告相談会についてはこちらで詳しく⇒確定申告の会場体験レポート
どうしても時間が取れずに税理士に頼みたいなら、確定申告の内容にもよりますが、相場で1回5~10万円だそうです。
ちなみに税理士への相談料は経費に計上することができます。
青色申告特別控除額10万円程度の規模であればできれば自分でやったほうがお得です。
1回確定申告をするとその次の年の確定申告からはそこまで難しくないのでがんばってやってみましょう。
2-3:自宅で確定申告が出来る e-TAXがおすすめ!
国税庁のHP内の「e-Tax」のページからインターネットを利用して電子的に手続が行えるシステムです。
自宅で確定申告の手続きが行える、とても便利なシステムです。
作成開始をクリックし、それぞれの項目に金額を入力していくだけで所得や税金を計算し確定申告書を簡単に作成することができます。
準備も操作も簡単です!
申告方法は2通り。
① 自身のパソコンで申告書データを作成し、電子証明書(マイナンバーカード)を利用して送信する方法
用意する物。
・マイナンバーカード対応のICカードリーダライタ
Amazonで2000円くらいで売っています。
② 自身のパソコンで申告書データを作成し、紙に印刷して郵送
自宅のパソコンから「e-Tax」にアクセスし、ブラウザ上で申告書を作成したあと、申告書をプリンターで印刷します。
データは送信せず、印刷した書面を郵送で提出します。
こちらの方法ですと、ICカードリーダライタは必要ありません。
代わりにプリンターが必要になります。
※「e-Tax」に関する手続きや操作方法の問い合わせ窓口も設置されていますので、わからない場合には利用するといいでしょう。
3.確定申告をしないとどうなる??
はじめに書きましたが、確定申告をしないのは法律違反なのでペナルティがあります。
故意・不意にかかわらず、3月15日の期限までに申告や納税をしないと、延滞税や無申告加算税などの申告漏れによるペナルティが課されることがあります。
重い税がかかるケースもあるので注意が必要です。
以下に、ペナルティが発生する3つのケースをご紹介します。
無申告加算税 | 3月15日までに申告書を提出しなかった場合 | 本来収める税額の15~20% |
延滞税 | 3月15日までに税金を完納しなかった場合 | 延滞日数×特例基準割合(毎年変わります)又は1%の低いほう |
ほ税(ほぜい) | 故意に申告書を提出しない 帳簿の改ざん |
5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金。又は両方。 払えない場合、住まいの差し押さえ等 |
4.もし確定申告を忘れてしまったら?
「うっかり確定申告を忘れてしまい、申告期限も過ぎてしまった・・どうしよう! 」
そんな時は、必ず1ヶ月以内の4月15日までに税務署へ申告しましょう。
自主的に期限後申告すれば無申告加算税が納税額の5%に相当する加算で済み、延滞税も申告時期が早いほど小額になるので、できるだけ速やかに対処をしましょう。
ただ、税金の納付状況は個人信用情報の登録対象ではないため、滞納があったからといっていわゆるブラックリストに載ることはありません。
税金の滞納があってもクレジットカードやカードローンの審査には影響しません。
普通の生活には困りませんが、住宅ローンや不動産担保ローンなどには大きな影響を及ぼす場合があります。
今後も投資活動に支障がでる可能性もありますので、うっかり忘れには注意しましょう。
まとめ
家賃収入がある人向けに確定申告の手続きをまとめてきましたがいかがでしたか?
白色申告と青色申告では「青色申告」を選択した方がお得です。
必要書類を用意したら確定申告をスムーズに終わらせることができます。
日頃から、領収書や明細書はわかりやすくまとめておきましょう。
初めての確定申告で不安な方は税務署が開催する確定申告相談会に行くこともおすすめです。
また、インターネットで確定申告を作成・申請できる「e-tax」を利用すると、面倒な所得や税金の計算も省けますし、税務署に直接行かなくて済むので便利です。
漏れがないようにしっかり申告しましょう。
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