優先劣後方式とは?メリットや注意点を解説【不動産クラウドファンディング】

不動産クラウドファンディングを検討するとき、必ずと言っていいほど耳にする『優先劣後方式』というキーワード。
不動産クラウドファンディングに出資経験がない人には聞き慣れない言葉なので、「高い方がリスクを抑えられる」といった認識はあっても、その仕組みはよくわからないという人もいるかもしれません。

しかし、優先劣後方式の有無とその割合は「利回り」や「物件詳細」と同じくらい投資先を選ぶ上で重要になるので、きちんと理解して投資をすることが大切です。
そこで今回は、優先劣後方式の仕組みやメリット、注意点について詳しく解説します。

この記事が向いている人
✓ 優先劣後方式がよくわからない人
✓ 不動産クラウドファンディングを始めるか迷っている人
✓ リスクを抑えて投資をしたい人

 

1.優先劣後方式とは?

不動産クラウドファンディングにおける優先劣後方式とは、投資家のリスクを抑えるための仕組みで、一定の損失までを運営会社の出資分でカバーすることを指します。

優先劣後方式の図解

具体的な例をもとに見ていきましょう。
1,000万円の不動産を購入し、投資家と運営会社の出資比率は7:3のケースを仮定します。

このとき、購入価格が1,000万円でしたが、それよりも低い800万円という賃貸収入と売却額しか得られないと

800万円-1,000万円= -200万円(損失)

となって損失が出ますが、この場合どうなるでしょうか?

出資者 出資額 返済額 損失額
投資家(優先出資者) 700万円 700万円 0円
運営会社(劣後出資者) 300万円 100万円 200万円
合計 1,000万円 800万円 200万円

200万円の損失が発生しても、まずは投資家に優先的に出資額分が返金されます。つまり、

投資家の損失額= 0円

この1,000万円を使った投資全体としては、損失となりましたが、投資家の元本に影響はありません。なぜなら、損失額の200万円は、運営会社が出資した300万円以内に収まるからです。

これに伴って、運営会社への出資金返済は後回しとなるため、投資家に出資金が返済された後に残った100万円が運営会社の返済に充てられます。

結論として、このケースでは投資自体は200万円の損失が発生したものの、投資家の損失はゼロですんだことになりました。
このように「優先劣後出資方式」を取り入れることで、投資家のリスクを低くすることにつながるのです。

2.優先劣後方式 2つのメリット

優先劣後方式を採用している投資物件に出資するメリットは、次の2つです。

不動産クラウドファンディングの優先劣後方式の2つのメリット

① 元本割れのリスクを抑えられる

こちらは、これまで記述したように明確なメリットです。
優先劣後方式を採用した不動産クラウドファンディングであれば、元本割れの危険性が少なくなるため、比較的安全に投資を始めることができます。
一定の割合まで運営会社が負担するため、投資家にとっては大きな損失を避けられる可能性が高まります。

② 運営会社のコミットが強まる

優先劣後方式は投資家を守る一方で、運営会社の観点から見ると、この投資を成功させないといけないという強いモチベーションになります。

優先劣後方式では、不動産クラウドファンディング運営会社も出資しており、損が出た場合は運営会社の出資金から補わなければなりません。

そのため、運営会社は損失が生じないように、プロフェッショナルが全力で運用を行うようになり、雑な運用で損失を出す可能性は低くなっています

3.優先劣後方式 2つの注意点

ここまで読んで「優先劣後方式があるから損失の心配はない」と安心しきってはいけません。不動産クラウドファンディングには、以下のような注意点があることに気をつけましょう。

不動産クラウドファンディングの優先劣後方式の2つの注意点

① カバーできる損失額に限界がある

優先劣後方式は、投資家のリスクが少ないというだけで、100%安全というわけではありません。

優先劣後方式は「運営会社が出資した額」=「カバーできる金額」のため、運営会社の出資額を超えた損失が発生した場合、投資家も損失を負担する必要があります。

上で説明した「1,000万円の不動産を購入し、投資家と運営会社の出資比率が7:3」と同じケースで見てみましょう。

このとき、仮に600万円しか賃貸収入と売却額が得られないと

600万円-1,000万円= -400万円(損失)

となり、400万円の損失が出ます。

出資者 出資額 返済額 損失額
投資家(優先出資者) 700万円 600万円 100万円
運営会社(劣後出資者) 300万円 0万円 300万円
合計 1,000万円 600万円 400万円

損失額が400万円となると、運営会社の出資額300万円だけでは損失をカバーできません。そのため、投資家にも100万円の負担が発生します。

投資家の損失額= -100万円

このように、優先劣後方式は投資家に全くリスクがないということではなく、大きな損失が出た場合には、元本割れを起こす可能性があるのです。

②優先劣後割合は投資物件ごとに異なる

優先劣後割合は運営会社が自由に決められるので、投資物件によって異なります。

とくに気をつけたい点が、運営会社のプロモーションページ等で「劣後出資比率30%」という記載があったとしても、その会社が提供する投資物件が全て30%になっているわけではないことです。実際の割合は各投資物件で異なってきます。

そのため、たとえ以前に30%割合で投資したことがある不動産クラウドファンディング運営会社だったとしても、各物件ごとに優先劣後割合が変わることを念頭に置き、都度その割合をしっかりと確認する癖をつけましょう。

4.運営会社が劣後出資を取り入れる理由

優先劣後方式は、投資家にとってメリットの大きい仕組みであることがわかったと思います。一方で、不動産クラウドファンディングの運営会社にとっては、デメリットしかないと思ったのではないでしょうか?

損失があった際はまず損失を負担しなければいけないのに、それでも運営会社が優先劣後方式を採用する理由は?
それには、マーケティングの観点と利益の観点があります。

① 投資家が集まりやすくなるから

まずマーケティングの観点で言うと、優先劣後方式を採用した方がお金を集めやすいからです。

不動産クラウドファンディングでは、投資家は自分で不動産を管理・運用するわけではなく、運営会社に任せます。それ自体は手間が減るので投資家にはメリットと言えますが、一方で、管理・運用を丸投げするので、投資家自身がなんらかのリスク管理・対策をすることができません。
「リスク対策を講じられない=この投資はリスクが見合わない」と思い、投資をためらう投資家も少なくないでしょう。

そのため、万が一の際の適切なリスク対策として優先劣後方式があることで、投資家が安心して投資が行えるようになり、結果として資金が集まりやすくなるのです。

もし優先劣後方式なしだったら「リスクへの対応ができない」と投資家に出資を渋られてしまい、運営会社は資金を集めにくくなる可能性が高まります。

② 出資金額に対する収益率が高くなるから

優先劣後方式は、投資家保護の観点で語られることが多いので、不動産クラウドファンディング運営会社は大事なときに損失をかぶるだけのように思っている方もいるかもしれません。

実際は、不動産クラウドファンディング運営会社も、自分たちで作った投資案件に出資しているため、最終的には、その運営会社も一般投資家と同様に配当を受け取ります

そして運営会社にとっては、うまくいけば収益率の高い配当を受け取ることができます。

上で説明した例を取り上げた「優先劣後7:3、1000万円の不動産を運営会社が購入した場合」で、例えば、賃貸収入として80万円を受け取り、一般の投資家への利回りは5%だったと仮定します。

全体の投資金額に対する収益率は、80万円÷1,000万円=8%
投資家への予定利回りは5%ですので、700万円×5%=35万円
運営会社の出資は300万円で、収益は80万円との差額である45万円

収益率にすると、45万円÷300万円=15%となり、運営会社側の収益率は倍近い数字となります。
もちろん、賃貸収入はもっと低かったり、一般の投資家への利回りはもっと高くなったりして変動があるため、全てがこの例のようにうまくいくわけではありません。

しかしながら、他者の資金を活用して収益率を高められる可能性があるので、この点も優先劣後方式を運営会社が取り入れる理由の1つになっています。

5.優先劣後方式の有無を確認してリスクを軽減しよう

今回は不動産クラウドファンディングにおける優先劣後方式について解説しました。

出資金額である元本割れが発生することは投資家にとって最大のリスクの1つです。このような投資家のリスクを軽減するべく、まずは、投資を検討している不動産クラウドファンディングで優先劣後方式が採用されているか、次に各投資物件ごとの優先劣後割合を見るようにしましょう

優先劣後方式が採用されている不動産クラウドファンディングの1つに「投活(トウカツ)」があります。

今回の記事を読んで、リスクを低くするために優先劣後方式を採用している不動産クラウドファンディングを始めたいと思ったのなら、「投活(トウカツ)」で投資をしてみてはいかがでしょうか?

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