公的年金制度が騒がれる中、多くの人が老後に不安を抱いています。
公的年金制度だけに頼れないとなると、個人年金保険を検討されている方も多いかと思いますが、どうでしょうか。
そもそも個人年金保険とは民間の保険会社などが販売している保険商品です。
かけた金額相当と保険会社の運用益が保険金額となり、契約時に定めた期間、又は死亡するまで受け取ることができます。
強制的に積立ができ、所得控除も利用できるためお金を使いこんでしまう方にはおすすめではあります。
しかし、結論からお伝えすると、今は個人年金保険に加入しないほうがいいといえます。
この記事では、なぜ個人年金保険に加入しないほうがいいのかお伝えしていきます。
また、個人年金保険がおすすめできないのであれば、他にどのような資産運用の方法があるか後半にお伝えします。
今老後資金を準備するならこれ!ということが分かりますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1.個人年金保険をおすすめしない6つの理由
個人年金保険をおすすめできないのは、メリット(リターン)は少ないのにデメリットが多く、それが不利益に働くことのほうが多いことが挙げられます。
では、どのようなことがデメリットとなり、損する可能性があるのか確認しておきましょう。
1-1:インフレに弱い
受取金額は契約時に決まってしまうため、インフレが進行すると、現金の価値がさがってしまいその分リターンも少なくなってしまうことが考えられます。
インフレとは物価の上昇することで、貨幣価値が下がることです。
例えば、毎月1万円を30年間払い、総額360万円の保険料を払ったとします。
受取額が400万円だったとしても、インフレが30年後に100%(物価が2倍)すすんでしまうと、実質的な貨幣価値は200万円となってしまいます。
反対にデフレによって物価が下落すると、貨幣価値は上がります。
この場合は、得をすることになりますが、少なからず、今のところはインフレが進行することが予想されており、デメリットとなる可能性のほうが高いものと思われます。
1-2:金利が固定されてしまう
生命保険の契約でメリットともデメリットともどちらにもなるのが、加入したときの内容が契約終了するまで継続することです。
バブル経済時には予定利率が5%を超えることもありましたが、現在は予定利率が0.25%。
以前の高い予定利率で金利が固定されることはメリットが非常にあるのですが、現在の低金利の時代にその金利で固定されてしまうのはメリットがありません。
むしろデメリットといえるでしょう。
今後、金利が上がったとしても今契約をしてしまうと、恩恵を受けることはできないため、現在は、契約することはおすすめできません。
なお、金利が固定されない積立利率変動型個人年金保険を選択することで、今後の金利上昇に対応することは可能です。
もし契約するとしても金利が固定しないものを選びましょう。
1-3:月6,667円以上支払っても節税効果なし
現在の制度では、個人年金保険控除の上限が最大4万円となります。
年間8万円以上支払うと4万円控除されますが、そこが上限なので、それ以上払っても恩恵がありません。
年収600万円の方だと所得税と住民税の節税効果は、年間約10,800円となります。
節税効果が低く、大きなメリットは感じられません。
所得税の計算式
年間の支払保険料等 | 控除額 |
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超 80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
住民税の計算式
年間の支払保険料等 | 控除額 |
12,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
12,000円超 32,000円以下 | 支払保険料等×1/2+6,000円 |
32,000円超 56,000円以下 | 支払保険料等×1/4+14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
1-4:途中解約すると元本割れしてしまう
途中解約をしてしまうと、通常支払った金額以下の返戻金となります。
個人年金保険は60歳または65歳まで支払わなければならないため、10年~40年もの長い間保険料を払い続けることとなります。
最初は払い続けられるかなと思っていても、その間にリストラや転職、病気等があり、収入が減ることは十分に考えられます。
そこで、貯金がなくなると、今まで積立してきた個人年金保険を解約せざるを得なくなります。
すると、途中解約になるため元本割れすることになります。
1年目は返戻率が40%~60%と低いですが、2年目以降になると、返戻率が上がり始めます。
しかし、返戻率が100%を超えるには30年近く経過していないと難しく、どうしても損をしてしまうことのほうが多くなります。
どうしてもお金が必要であれば、元本割れをしたとしても解約しなければならないのですが、支払い続けることができないだけであれば、払済保険にすることで支払いをストップしながら、保障を受け続けることが可能です。
この場合、年々解約返戻金が増え続け、最終的には元本割れをせずにすむこともできます。
損をしないための方法はいくつかあるので、途中解約をできるだけ避けてください。
1-5:保険会社が破綻する可能性も
個人年金保険の生命保険会社が破綻した場合、生命保険契約者保護機構という仕組みがあり、支払い済みの金額が全て損をするということはありません。
しかし、本来想定していた個人年金の金額よりも少なくなってしまう場合が多くなります。
そのため、加入時にはしっかりと生命保険会社の破綻リスクについてしっかりと把握しておくことが大切です。
また、ソルベンシー・マージン比率が高い保険金の支払余力がある会社を選ぶ等の対策を行うことも重要となります。
1-6 受取金にも課税される
現在は、生命保険料控除で節税効果があったとしても、受取時の利益は雑所得として課税されます。
更にその分健康保険や介護保険料が高くなってしまう可能性があります。
特に65歳から受け取ることになると、国民年金・厚生年金の収入もあり、収入が増えることが考えられますので、受け取り方のシミュレーションは重要になります。
2.個人年金以外に投資するなら
個人年金保険がおすすめできなければ、どのようなものに投資することが今、おすすめでしょうか。
安全性の高いものから4つ、順に紹介していきます。
2-1:個人向け国債・地方債
国や地方自治体が発行する債券です。
国が元本や利息を支払うため、破綻するリスクが限りなく低く、安全性が非常に高いのが特徴です。
現在の個人向け国債の利率は0.05%です。(令和1年10月現在)
変動金利型を選択すれば、柔軟に金利上昇にも対応することができます。
固定金利型を選択したとしても、一年を経過すると、元本割れのリスクなしで換金ができるため、満期になるまでずっと所有しておく必要もありません。
地方債の場合は、都道府県または市町村が発行するため、国に比べるとリスクは高くなります。
その分、国債よりも高い金利を受け取ることが可能です。
北海道夕張市のように本当に財政破綻する地方自治体もあります。
地方債も破綻するリスクは低いとはいえ、そういう事例もあるので、注意して購入してください。
2-2:iDeCo
iDeCo(イデコ)とは、「個人型確定拠出年金」のことを指します。
公的年金制度だけでは、不足する年金を自分で用意するためのお得な制度です。
60歳までの間に毎月一定の金額(企業年金がないサラリーマンの場合5,000円~23,000円)を拠出して、その掛け金で投資信託や定期預金などの金融商品を選んで運用し、60歳以降に運用した資産を受け取るというものです。
デメリットとして、60歳になるまで使えないということがありますが、メリットが大きく、非常におすすめです。
メリットは次の3つがあります。
・掛金が全額所得控除でき、節税効果が期待できる
・運用益が非課税 ・受け取る際に退職所得控除、公的年金等控除が利用でき、節税効果がある |
iDeCoは自分自身で運用をする必要があります。
当然、運用次第で元本を上回ることもあれば、場合によっては元本を下回る可能性もあります。
どうしても元本割れをしたくなければ、定期預金を運用商品に選ぶことで、確実に増やすことができますし、リスクをとって、運用益を増やしたい人は投資信託を選び、積極的に運用することも可能です。
最終的には60歳以降にならないと、運用結果が分かりませんので、長期的な目線が必要となります。
iDeCoに関しては、こちらの記事が参考になりますので、ぜひご覧ください。
2-3:NISA
NISAとは株式や投資信託等の売却益や配当金を一定額非課税にする制度です。
本来、20.315%の税金がかかりますが、NISAの枠内であれば非課税となります。
例えば、NISAは、年間120万円まで非課税投資枠がありますが、もし、株価が2倍になって資産が240万円になったとしても、本来なら約24万円の税金も非課税のため支払う必要がありません。
資産を効率よく形成することができます。
とはいえ、あくまでもNISAは株式投資がメインとなるため、どうしてもリスクが高くなりがちです。
そこで、リスクを少しでも抑えたい方は、2018年1月から始まったつみたてNISAのほうがおすすめです。
こちらの非課税枠は年間40万円まで。
ただし、NISAが運用可能期間5年間で最大600万円までが非課税になるのに対し、つみたてNISAは、運用可能期間が20年間。
最大800万円まで運用が可能です。
つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われない等、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されております。
投資初心者をはじめ幅広い年代の方にとって利用しやすい仕組みとなっているため、時間をかけて資産を形成したい方はNISAよりもつみたてNISAがよいでしょう。
ちなみにNISA、つみたてNISAのメリットはいつでも解約できることです。
株式や投資信託のため現金化することが容易です。
景気が後退すると判断した場合は、一旦現金化して、資産を目減りさせないことも可能です。
教育資金の準備にも利用ができますので、上手に活用してみましょう。
2-4:不動産投資
不動産投資は中長期の運用が前提で、年金代わりに始める方も非常に多くいらっしゃいます。
不動産投資は、株式投資とは違い、価格に一喜一憂することなく、落ち着いて運用ができ、実際の実務を全て不動産会社に委託できることから、副業といっても手がかからず、サラリーマンの副業として注目されています。
しかも、不動産投資はいくつもある投資の中でも借入をして行うことができる唯一の投資方法です。
まとまったお金がなくとも実際に始めることができるため、思い立ったら始めることができます。
現役世代から始めると、家賃収入を受け取りながら、ローンを返済し、老後の頃にはローンは完済が終わり、その後は家賃を受け取るだけとなります。
メリットは、節税効果、生命保険がわり等目的にあわせて、幅広く利用が可能です。
ただし、デメリットやリスクもありますので、ぜひ下記の記事もご覧ください。
まとめ
個人年金保険は現在の状況ではどうしてもおすすめすることはできません。
年金は年金でも「個人型確定拠出年金」のiDeCoは老後資金を準備するのにメリットがたくさんあり、おすすめいたします。
NISAやつみたてNISAは老後資金も教育資金でも何でも準備に活用できるメリットがあり、特につみたてNISAは長期運用が前提です。
長期運用の特徴として長期になるにつれ、元本割れのリスクも減少するというのがあります。
そういう意味では年3~4%のリターンを得つつ、老後資金を準備しながらも他の用途でも資金を利用可能という利便性が光ります。
メリットの多さでは、不動産投資もおすすめです。
公的年金と同じように老齢年金、遺族年金、障害年金いずれにも対応ができるため生命保険がわり、年金がわりに活用することができます。
おすすめした投資先はできれば、1つだけ選択するのではなく、複数を同時に行うとより効果的です。
それは、デメリットを打ち消し、メリットを際立たせることができるからです。
商品の特徴を生かし、ぜひ、よりお得に老後資金を準備してみてくださいね。
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