アパートやマンションなど、不動産運営におけるリスクの一つに、家賃滞納のリスクがあります。
家賃滞納リスクとは、入居者は賃貸契約に基づいて家賃支払義務があるのにも関わらず、家賃を納めないことを指します。
しかし、日本の民法では、入居者の権利が守られており、よほどのことがない限り、強制的に入居者を退去させることができません。
入居者がいるのに家賃がはいってこない滞納リスクは、空室リスクよりも厄介なリスクと言えるのです。
そこで家賃滞納リスクをカバーするのが、家賃保証会社です。
結論からいうと、この家賃保証サービスは必ず利用した方がいいです。
もし保証がないと万が一滞納となった場合、無収入であるだけでなくローンを借りている方は返済でマイナスになるリスクをおってしまいます。
この記事では、家賃保証会社の保証内容と、利用するメリット・デメリットまで徹底解説!
さらには加入条件まで説明いたしますので、最後まで読めば、「家賃保証」について徹底的に理解できるようになるはずです。
是非参考にしてください。
1 家賃保証会社とは
それでは、まず、具体的な家賃保証会社の保証内容を見ていきましょう。
物件の所有者(オーナー)に対し、どのような保障があるのでしょうか。
1-1 家賃の滞納時に入居者に変わり家賃を支払ってくれる
家賃保証会社の基本的な保証内容は、毎月の支払期限を過ぎても入居者から家賃の入金がなかった時に、入居者に代わって大家に支払うことです。
そして、家賃を滞納してる入居者に対して、大家の代わりに家賃の取り立てを行います。
大家にとっては、入居者さえいれば確実に収入が見込めますので、ローンが返済できなくなるリスクがなくなります。
家賃の保証期間については、会社のサービス内容や支払う保証金によって変わってきますが、2年間が大半を占めます。
家賃の滞納時は不動産管理会社、もしくは、大家自身が入居者に直接、取り立てを行わなければいけません。
しかし、慣れない大家にとって家賃の取り立ては、ストレスを伴う作業です。
専門家に取り立てを任せますので、取り立て自体に伴うストレス、家賃未払いに伴うストレス、両方の苦痛がなくなります。
それでは、家賃滞納から振り込みまでにかかる日数は、どれほどでしょうか。
保証会社で異なりますが、早い場合ですと、家賃滞納の連絡から3日後に口座に振り込まれます。
1-2 家賃保証以外のオプションサービス
家賃保証会社の基本的な保証内容は、滞納時の家賃保証、残置物の撤去費用負担、入居者が死亡した時の原状回復費用、さらには、明け渡し訴訟における法的手続きの費用負担となっています。
その他にも、追加の保証金を支払うことで、原状回復費用を負担する保証会社もあります。
大家が自宅から離れた場所に賃貸物件を所有している場合、賃貸物件の状況をこまめに確認できません。
また、住人の実態が正確に掴めないため、建物・部屋に大規模な破損が起きてしまうことがあるのです。
そんな状況下で退去が発生したときは、100万円を超える多額の修繕費用がかかってしまうことがあるのです。
毅然とした態度で入居者と交渉ができて、かつ、修繕金を請求できれば、基本的に修繕費用は入居者側の負担です。
しかし、入居者が夜逃げや失踪をしてしまうと連絡が取れず、修繕費用の請求ができなくなります。
大家が自分で修繕費を負担する必要に迫られ、不動産の運営において大きなリスクを抱え込むことになります。
そのような時、オプションサービスの原状回復費用プランに加入していれば、原状回復が発生した時に、費用に応じて保証金が受け取れるのです。
1-3 家賃保証会社の相場
家賃保証会社の相場ですが、会社によってまちまちです。
基本的には家賃の0.5ヶ月から1ヶ月分が多いです。
補償内容に違いが出る原状回復費用オプションは、家賃の1~3か月分など、相場は異なります。
2 家賃保証会社を使うメリット
大家が家賃保証会社を使うメリットは、具体的に何があるのでしょうか。
体験談などから見ていきましょう。
2-1 リスクをカバーし、収入の安定化がはかれる
まず、最も大きなメリットは収入の安定です。
入居者が家賃を滞納したとしても簡単に入居者をさせることはできません。
日本の法律では入居者の住む権利がかなり厚く守られていて強制退去は固く禁じられています。
ある意味家賃の滞納リスクは空室リスクよりもやっかいなものといえます。
勝手に追い出して別の入居者を住まわせることができない以上、家賃滞納リスク時は空室時と同じような対策が取れませんので、より深刻な問題と化します。
滞納リスクをカバーできる家賃保証は、非常にありがたい制度です。
2-2 保証人に頼れない人とも契約できて、入居率アップが可能になる
次に、大きなメリットが、連帯保証人を必要とせずに賃貸契約が結べる点です。
入居者と大家間の賃貸契約では、基本的に連帯保証人がセットになっていました。
これは、入居者が家賃を支払えなくなった場合に、連帯保証人に家賃の支払いを請求するためです。
しかし、誰もが信頼できる連帯保証人を見つけられるわけではありません。
また、連帯保証人がいたとしても、その連帯保証人に支払い能力がないこともあります。
さらに今後、民法の改正によって、連帯保証人に請求できる保証料も、上限が定められるようになります。
連帯保証人がいるからといって、大家が安心できるわけではないのです。
そこで、賃貸契約時に、家賃保証会社に入居者を加入させる大家が増えています。
これは、連帯保証人を必要とせずに賃貸契約が結べるからです。
大家にとっても、支払い能力が知れない連帯保証人よりも、確実、スピーディーに家賃を回収できる家賃保証会社の方が、家賃滞納リスクの特効薬になるのです。
そして、入居者にとっても、連帯保証人を探さなくても部屋が借りられます。
お互いにメリットがある意味で、まさにWIN-WINの関係なのです。
2-3 外国人や高齢者を入居者にできる
連帯保証人がいなくても賃貸契約が結べるようになれば、外国人や高齢者、職業が安定しない人、生活保護の対象者などを入居者にできます。
特に日本は今後、外国人労働者・高齢者の増加は避けられません。
属性の良い入居者だけを選んで、空室を埋めることは難しくなるのです。
確かに、外国人や高齢者は収入が安定しません。
「出来れば避けたい」と考える大家も、中にはいるでしょう。
リスクが高い入居者であっても、家賃保証会社への加入によって、家賃収入が確実に入るようになります。
部屋を貸し出しても、大きな懸念材料になりません。結果として空室が埋まって、賃貸物件の経営が安定します。
2-4 失踪が起きても家賃が一定期間保証される
また、家賃が支払えなくなった入居者の中には、夜逃げで姿をくらましてしまう人もいます。
しかし、夜逃げが発生したからといって、大家や管理会社がすぐに状況を把握できるとは限りません。
家賃未納が続いた末に、ようやく発覚するケースが多いです。
また、夜逃げが発覚した後でも、残留物などを即刻処分できません。
つまり、新しい入居者をすぐに募集できないのです。
そんな時、家賃保証会社に加入していれば、一定期間ですが、入居者の夜逃げで回収できない家賃が立て替えられます。
2-5 高額な内装の破損も保証される
オプションの現状回復費用負担サービスに加入しておけば、内装の原状回復費用の保証が受けられます。
特に、高額な設備や家電製品、調度品などを多く設置している部屋は、原状回復費用負担サービスに是非とも加入しておきたいところです。
器物破損などが起きると、修繕費用が発生します。
さらに、原状回復工事のため、一定期間部屋が使えないリスクが伴います。
そこで、原状回復費用オプションと家賃保証に加入しておけば、空室期間の家賃と原状回復費用の両方が保証されます。
3 家賃保証会社を使うデメリット
一方で、家賃保証会社を利用することによるデメリットが、ないわけではありません。
当然保証を受けるにはそこには保証料が発生します。
その点がデメリットになることもあります。
3-1 初期費用が増えるデメリットも
まず、賃貸契約時に家賃保証会社に加入する場合、基本的には入居者に加入保険金を支払ってもらうことになります。
相場は家賃の0.5ヶ月から1ヶ月ですから、それだけ入居者にとっては初期費用が増えてしまうのです。
引っ越しの初期費用といえば、
・敷金
・礼金
・仲介手数料
・前家賃
・引越し代
こういった支出がありますので、相当な額になることがあります。
その上、家賃保証会社の保証金負担が増えれば、敬遠したいと思う人も出てきます。
特に、連帯保証人が用意できる人であれば、「保証金を支払うよりも、連帯保証人を立てるほうがいい」と感じるでしょう。
初期費用の増加を防ぐには、家賃保証会社と連帯保証人の選択制の他、別途費用を大家が負担する、礼金をなくすなどの方法を考えましょう。
基本的にもともと家賃が高い物件は、実は初期費用が高くても、それほど入居者に嫌われません。入居する人の収入が高いからです。
大家は、「家賃があまり高くなく、初期費用が安い物件ならば、家賃保証会社の加入費用で家賃1ヶ月分を上乗せしても良いだろう」とつい、考えがちです。
しかし、実はそこがネックになって、入居が決まらないことがあるのです。
家賃が安い物件に住む人は、収入自体が少ないからです。
また、家賃保証会社の契約更新費用で、1年ごとに1万円ほどの更新料を支払うケースも多く入居者の負担はすこし高くなります。
3-2 オーナーと入居者、どちらが加入費用を負担するべき?
もし、保証料の支払いが入居者の負担になっているのであれば、大家自身による支払いを検討しましょう。
もちろん、必ずしも大家が払うべき、入居者が払うべきという決まりはありませんので、入居が決まりやすい物件であれば、入居者の負担でも良いでしょう。
本当に初期費用すら用意できない人であっても、空室対策でどうしても貸し出したいのであれば、オーナーが負担しても良いでしょう。
物件ごとにケース・バイ・ケースで検討して、保険金以外にも連帯保証人の併用、または、一定の貯金があれば入居可能といった取り決めをしても良いのです。
「現在は初期費用を用意できないが、定職に就いたので部屋を借りたい」という人に対しては、会社の属性などを精査した上で、入居の可否を決めましょう。
ただし、同じ物件に住む住人の間で不公平にならないように、入居条件は一律にするべきです。
入居者どうしの雑談でえこひいきが露呈して、人間関係のトラブルや退去が発生するリスクがあります。
3-3 家賃保証会社の倒産リスクがある
大家が想定しにくいリスクとして、家賃保証会社の倒産リスクがあります。
倒産が起きれば、預けてきた保険金が無駄になってしまうだけではなく、保証まで失われてしまいますので、二重の損失が発生します。
倒産は頻繁に起きるわけではありませんが、経営状態の悪い会社はできるだけ選ばないようにしましょう。
できるだけ実績が豊富で、経営が安定している会社を選ぶべきです。
4 家賃保証会社に加入するには
家賃保証会社に加入する時は、どのような書類や条件が必要になるのでしょうか。
また、どのような会社を選ベば良いのか、見ていきましょう。
4-1 こんな家賃保証会社がおすすめ
おすすめしたい家賃保証会社といえば、日本セーフティー株式会社が挙げられます。
先に挙げたように、家賃保証会社が倒産してしまうと、大家のダメージはたいへん大きなものになります。
それだけに、資本金や従業員が多く、家賃保証の実績が豊富で、倒産しにくい会社を選ぶようにしましょう。
サービス内容自体は、どの会社もそれほど大きな違いはありません。
しっかりと見るべきは、家賃の未納が発生して家賃保証会社に伝えた後、大家に支払いが行われるまでの所要期間です。
早い場合で一週間以内に家賃を振り込む会社もありますし、翌月末まで支払わない会社もあります。
あまりに支払いが遅いと、毎月のローンの返済に支障が出ることもあるでしょう。
ネットの口コミなどで家賃保証会社の評判を調べ、具体的な保証内容や、家賃の振り込み時期などを確認しておきたいところです。
4-2 必要な書類、費用など
保証会社が用意する書類などを提出すれば、利用は可能です。
前提として、入居者が家賃保証会社と契約してもらうことになります。
入居者は
・運転免許証やパスポートなど身分証明書
・各社が定めた契約書類
・加入費用となる保証金
・外国人の場合は在留カードや永住証明書
生活保護受給者の方は以下の書類いずれか1点
・生活保護決定通知書
・生活保護証明書
無職の方
・預金通帳のコピー
・名義人及び直近の取引履歴が確認できるもの
年金受給者
・年金の源泉徴収票
・預金通帳のコピー
(名義人及び直近の取引履歴が確認できるもの)
未成年者
・親権者の同意書
などの書類を提出して、契約を結ぶことになります。
場合によっては連帯保証人を求められることもありますが、一般的な入居審査に比べれば、審査のハードルは低くなっています。
現在、安定した収入がない人、生活保護を受けている人、年金受給者などでも、家賃保証会社の利用は可能です。
ゆえに、様々な年齢層、属性の人を入居者として受け入れることができるようになります。
まとめ
家賃保証会社の利用価値は、今後、さらに高まると見られています。
日本の人口が減少している中、国は労働力を支えるために、出稼ぎ外国人労働者を積極的に取り入れようとしています。
また、非正規雇用の人間も増加し、収入が不安定な人が増えています。
賃貸物件を安定して運営していくためには、そういう人たちも入居者として受け入れる必要があります。
いかに収入が低い人から、確実に家賃を集めていくかを考えなければいけないのです。
さらに、民法の改正により、連帯保証人に請求できる金額も上限が設定され、連帯保証人の弁済が絶対的なものでなくなりました。
不動産物件を効率よく開拓していくには、家賃保証会社を上手く利用してリスクをカバーして、後顧の憂いを絶つことが大変重要です。
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